天地県(てんちけん)。
それを創立した男、天地早雲(あめつちそううん)は暴君だった。
もとより廃藩置県にて天地県などは作られる予定などなかった。
それを、この早雲が己が権力を持って手に入れたのだ。
自分の国、自分の城を。
この男は大名ではなかったから華族にはなれなかった。
しかし、権力をもって男爵位を手に入れ、そのまま創県したのだ。
そんな成金の権化には、狂った趣味があった。
金に物を言わせ、女を攫い、奴隷にし、壊れたら殺すという歪んだ趣味が。
だから、こんなにも、この屋敷には、チューリップを植えたのだ。
死体は、いい肥料に、なる。