
「なんであたしが部屋掃除なんか・・・」
実夜はぶつぶつと文句を言いながらも懸命に雑巾がけを行っている。
西林帛郎と水村高幹はそんな実夜の微笑ましい光景に憧憬を感じえずにはいられなかった。
しかし、4人で共同生活をしているとそんな憧憬が当たり前に感じえてしまい、つい、言わなくてもいいことをぽつりと漏らしてしまう。
「ブツクサ言わないでさっさとやれ実夜」
帛郎は言った後に後悔した。
もっとも後に悔やむから『後悔』と書くのだから言う前に後悔できたらそいつは天才である。
いや、神の化身に違いない。
そんなことを思索していると高幹もつられて言ってしまう。
「そうだよ戸梨くん。ジャンケンで負けたキミが悪いんだ」
途端、実夜の表情が曇り出す。
気づいた。
罪悪感に。
そんな2人と実夜の表情を読み取って西林美琳が咄嗟にフォローする。
「2人とも実夜ちゃんの邪魔になるといけないから出ましょうよ」
「そうだね姉ちゃん」
「まったくしょうがないね」
2人はその言葉に救世を感じ、美琳に攣られながら部屋から出ようとする。
そんな時、実夜がぽつりと漏らした。
「手伝ってくれないんだ・・・」
この言葉に3人は口をそろえて言う。
そこに罪悪感は微塵もない。
「「「何を当たり前の事を?」」」