「奴隷、家畜、ペット。さあ、どれがいい?」

 夏御蜜柑は笑いながら3択させる。

「どれもいやですぅ・・・」

 湖笛みなのは泣いていた。

 ある日突如として夏御蜜柑に拉致され、気がついたら訳のわからない所にいるのだから。

「じゃあモルモット、玩具、便器」

「そんなのいやぁ・・・」

「わがままだねえ、みなの」

 夏御蜜柑は邪悪な笑みを浮かべる。

 ふと、後ろで整列していたみやが意見する。

「じゃあメイドというのは?」

「ダメ」

 即答だった。

「な、何故です?」

「メイドさんは、『神様のお告げ』でダメ」

「????????」

 理解できない。

「だってメイドさんの場合さあ、正当な理由がないとエセになるじゃん」

「はあ・・・・・・」

「たとえばメイドさんが実は愛人だったとか、不幸にも強姦に会うとか、いちいち理由がいるんだよ」

「そんなものですか?」

「そうだよ。たとえば借金といかいう設定にしてもね、いったい幾ら給料もらってんだろうね。朝から昼は家事やら給仕やらして、夜は夜で犯されて、労基法+公序良俗違反だよね。これだったら歌舞伎町に言った方がよっぽどマシじゃないかな? それとも月収何千万で年収億超える? 主人が破産しちゃうね。かといって月収何百万だったら歌舞伎町のほうがいいよ。朝も昼も寝てられるし」

「はあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう・・・ですね」

「もしメイドさんの月収が何十万だったら、これは詐欺だね。一刻も早く内臓売って借金返さないと人生パーになるよ」

「はあ」

「だから、メイドさんはダメなんだよ・・・・・・・・・・で、みなのは6つの中でどれがいい?」

「だからみんなやですぅ」

「強情だね。・・・・・・・・・・じゃあ、メイドさんやってみる? 一日8時間労働。夜伽無し。月収はナシで」

「え・・・・・・・・・」

 みなのは絶句したが、後ろのみんなも絶句した。

 この夜伽無しという言葉にどれだけの思いが込められているか。

 だったら自分たちも駄々をこねていれば・・・

「いやなら死んじゃえ」

 夏御蜜柑が最終宣告を出した。

「わ・・・・・・わかったですぅ」

 みなのは承諾した。

 夏御蜜柑は、確かに笑った。



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