彼は、幻想主人と定義した。

 今がいつなのかはわからない。

 だから、とりあえず定義した。

 たぶん、ここは、何兆年の彼方。

 空間だけが歪曲している。

 世界は幻想していない。

 だから、定義する。

「あはは」

 夏御蜜柑の笑み。

 幻想主人は泣いた。

「うえーん」

 夏御蜜柑なんか嫌いだ。

「それはいやだなあ」

 嫌いだ嫌いだ。

 嫌だもん。

「だーめ。あなたはあたしの主様なんだから」

 嫌、嫌。

「え? 何言ってるかわかんないよ」

 嫌。

「主人の定義はね、あたしが矛盾だからなんだよ。矛盾の支配者であるあなたは永劫にあたしの主人だ」

 嫌だ!!

 こんな空間がいやだ。

 戻る。

 否定する。

 何京年の彼方を断る。

 だから、夏診蜜柑なんか、嫌いだ!!

「だったらあたしは笑うよ」




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