ローゼンソール効果とは、ある一定の事象に対して賛美を行う事で、その事象そのものを昇華させる心理的効果の事である。

 この『ローゼンソール』とはギリシア神話でピグマリオンという王が大理石の乙女像に恋をしてしまい、しかしその思いが通じ乙女像に魂が宿り、命を持った事に由来する。
ローゼンソールという名称はハーバード大学教授であるロバート・ローゼンソールに起因する。

 では、その素晴らしい効果をもって一種のイマジナリー・コンパニオンと化していた巫女さんという幻想の妖精に魂を宿らせようと思う。

 

 

 

著・深田あり

 

 

 

 深田ありはローゼンソール効果(別名ピグマリオン効果)を決して否定しない。むしろ肯定する側の人間である。

 苔の一念岩をも通すというのなら、この言葉はどこまでも正当である。

 しかしそれと巫女さんは根本的に違う。

 まず巫女という概念は神職とは違う。

 神職とは神職養成期間にて学びその後二年間の神社奉仕、初任神職研修及び各種研修4日間以上の修了を得て初めて明階が授与される。

 つまり、現在において巫女とは終身雇用ではなく、一時的、契約的で、終身雇用されるべきものが神職に該当する。

 さて、今回は神道の性質に正しい巫女の証明、そして巫女さんのローゼンソール化の3項に分けて解明していきたい。

 結論を言えば、今回の異常文章は第3項となり、上位2項はさほど異常ではない、というよりむしろ眠くなるだけの睡眠文章である。

 少なくともロリ正当理論よりは良識的な論考である事をここに提示する。(あんなのとくらべてどうすんだよ・・・)

 

 

 

 払い給い 清め給え

 神ながらに 守り給い 幸え給え

              (神拝詞)

 

 

 

神道の性質

 

 

 

1 神道を一言で言うのなら『敬神生活の綱領』である。

2 これは神道という概念が『世界における道であり、その道によって気高き精神を培い、太平の基を築く』という理念に形成されているからだ。

3 神道は神の恵みと祖先の恩に感謝し、清く祭祀に勤しむ事と、万人の奉仕と、神の布教、神の御心によって世界を統べ、共存共栄を祈るという宣揚が存在する。

4 さて、上記は信念である。

5 これからは神道の儀礼、伝統、形式について論考する。

6 まず俗物的に賽銭箱について説明する。

7 賽銭とは別名を『報賽』と言い、祈願成就の際『お供え物』として金銭、あるいは物品、もしくは米を奉納する。という事である。

8 また奉納金の由来は初穂の恩恵に対する感謝であり、神前に捧げる金は初穂料という。

9 即ち神とは自然の恩恵なのだ。

10そもそも神道において神社などというものは最初から存在していたわけではない。

11いわゆる御神体が鎮座する場所を聖域とし、その聖域を天災から守るために祠を建てたのが起源であり、現在の社はいわゆる大陸から伝来した仏教の影響である。つまり、蘇我稲目の影響。

12そしておそらく日本人の4割以上は初詣にしか神社に赴かないであろうが、そもそも初詣とは『祈祷』である。

13つまり初詣とは『神の加護を受ける儀式』なのだ。

14またその一環として一年の奉告も行う。

15ではここで参拝方法を提示する。

16鳥居を入り、手水舎で口と手を清める。

17ちなみにその順序は左手→右手→口→左手。

18次に神前(賽銭箱の前)にて一礼。

19賽銭箱にお供え物を奉納する。

20二拝二拍手一拝。別に鐘を鳴らす必要はない。

21真心を込めて神に祈りを捧げる(他のどれよりもこれ一番重要)

22帰り際に一礼。

23とまあこんな感じでさほど難しくはない。ちなみに祈祷は他にも地鎮祭、竣工祭などでも行われるがやはり重要なのは神への祈りである。

24別にこれは神道に限ったことではなく、おおよそ全ての宗教において重要なのは神への祈りである。

25極端な話、祝詞の意味とは『神の加護を受ける祈り』である。

26ちなみにどうでもいいことだが二拝二拍手一拝の拍手の名称を『短拍手(みじかて)』と言い、他にも古式では『八開手(やひらて)』『四拍手』『拝礼』『座拝』『立拝』『起拝』などがある。まあどうでもいいことである。

27神社の鐘とは魔除であり、本来神事の際に鳴らすものである。

28その原理としては鐘の音によって神が降臨させ、祈祷が届くようにするという意味合いがある。

29次に御札とお守りの違いだが、実は価値的な違いはない。

30御札もお守りもどちらも神職が神事にて祈祷を行ったものであり、災厄から守る、ドラえもんの秘密道具でいえば厄除けシールと同じものである。

31御札とは基本的に貼り付ける事で効能を発揮するのに対し、お守りは携帯である。違いはこれだけだ。

32次に六曜である。

33六曜とはよくカレンダーにある大安やら仏滅やらの事だ。

34ではその意味を提示する。

35先勝・・・・・・積極的に行動すれば吉。時間的には午前中が吉。

36友引・・・・・・凶。完全な凶。文字通り友が間引くからである。

37先負・・・・・・積極的な行動は凶。時間的には午後は吉。

38仏滅・・・・・・言うまでもなく凶。本来は仏滅ではなく『物滅』と書く。中国の『送鐘』と一緒。

39大安・・・・・・文字通り一日を通して吉日。

40赤口・・・・・・午前11〜午後1時までが吉だが後は全部凶と不吉の権化のような日。

41ちなみに六曜とは元々時間の吉凶占いだったのだが、日本に伝来した際日にちの吉凶占いに変貌した。

42よくお守りに関して沢山の神様のお守りを一緒にするとケンカする。という迷信があるがそもそも神道の世界は一神教ではなく多神教であり、高天原、海原、地上の三つの世界を八百万の神々が共存しているのでお守りが一緒になったからといってケンカすると言う事はない。たしかに古事記では神々は戦争ばかりしていたけど。

43ただしお守りの順番は神様のランクの順番にするのが好ましい。もっともランクを知らなければ別にいいのだが。

44ではこんなつまらん事だらだら書いても飽きるだけなので、というか深田ありが既に書くのに飽きているので最後に神職のランクを提示する。

45神職のランクを階位という。

46階位は検定を行う事で昇格する事が出来る。

47直階→権正階→正階→明階→浄階という順番。後ほどランクが高い。

48また当たり前であるが神社は宗教法人に属しており、大半が本庁の傘下である。

49しかし中には神社本庁に属していない、いわゆる単立宗教法人としての神社もある。

50伏見稲荷神社、靖国神社、日光東照宮などである。

51他にも復古神道や山岳神道、民間神道や儒教神道、他にも天理教なども本庁とは違う所が存在する。

52鳥居にも種類があり、大まかに分けると2つ。

53装飾のある明神鳥居とシンプルな神明の2種類。

54無論他にも八幡鳥居、山王鳥居、春日鳥居、稲荷鳥居、三輪鳥居、両部鳥居などもあり別に統一されているものではない。

55そもそも鳥居とは『神と人間の領域の境界線』という意味なのだ。

 

 

 

 掛まくも畏き伊邪那岐大神

 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に

 禊祓い給いし時に成り座せる祓戸の大神等

 諸々の禍事罪穢有らむをば

 祓い給い清め給へと白す事を聞食せと

恐み恐みも白す

              (祓詞)

 

 

 

正しい巫女の証明

 

 

 

1 さて次は巫女とは何か? という事である。

2 広辞苑・・・・・・巫女(すずしめ・かんなぎ・ふじょ・みこ・神子)神に仕えて神楽・祈祷を行い、または神意を窺って神託を告げる者。未婚の少女が多い。

3 大辞林・・・・・・巫女(みこ・ふじょ・いちこ・神子・市子・神巫)神社に属し、神楽を舞ったり神事に奉仕して補佐する女性。

4 そもそも巫女とは神道に限った事ではなく、シベリアをはじめ世界各国の古宗教に存在している。

5 ただしそれらは自らをトランス状態に導き、神・精霊・死者の霊などと直接に交渉し、その力を借りて託宣・予言・治病などを行う宗教的職能者であり、日本の巫女とは根本が違う。

6 ただし昔の日本でも神と人との感応を媒介し、神に従い人の吉凶を予言する者はいた。

というか卑弥呼がその代表者だ。

7 しかしこれらは巫女と言わず『巫覡(ふげき)』と言う。巫覡はぶげきとも読むが、いずれにせよ、古代のかんなぎの1種には違いないが、厳密なる巫女ではない。

8 巫女とは神道的には神職の仕事を補佐する女性の事を指し、通常は『白衣』に『緋袴』(袴は二種類あり、ズボン状を『男袴』スカート状を『行灯袴』と言う)を穿いた姿で一般的には『装束』と言う。

9 ちなみに装束の襟にある緋色のものは『掛襟』という襟だけのものである。

10そして祭事の時には『千早』を纏い、『花簪』のついた『前天冠』をかぶり、手には五色絹がついた『鉾先舞鈴』『神楽鈴』あるいは『舞扇』『桧扇』を持ち、神主と同様に舞の正装として『小忌衣』『袙』『単』『裳』を纏う。

11また巫女とは文字通り女性の事をさすが、男性の場合は覡(おかんなぎ)と言う。

12また巫女は短髪の場合『垂髪』という付け毛を用いる。

13では次に巫女の仕事である。

14巫女の絶対原則は神社に居る事である。

15寺の僧も教会の修道士もそうであるが、聖職者。それも宗教の職業は基本的にハードである。

16ではまず巫女になるためいいかから考察しよう。

17巫女になる手段は主に次の3つである。

18求人広告

19バイトから昇格。

20氏子。

21ただし巫女ではなく神職を目指す場合は國學院大學あるいは皇學館大学で神道の養成期間に行かねばならない。(他にもあるけど具体的な学校名は知らない)

22わかりやすくいうのなら、養成期間は士官学校のようなものだ。

23またバイト巫女は基本的に助勤である。

24国学院、皇學館の求人広告には大抵募集があるので問題はないかと。

25また巫女の定年は一定こそしていないが20代が限界である。

26それ以降は事務員になるか、退職するか、神社のコネでいい家の息子と結婚するか、勉強して神職になるかのいずれかに属する。

27また巫女ではなく宮司になるが、永世宮司という役職があり、文字通り一生涯その神社にのみ奉仕する宮司が存在する。

28さて巫女の仕事に戻そう。

29巫女の仕事は朝着替えから始まる(当たり前だ)

30朝・・・・・・社の掃除、御日供、朝拝。

31昼・・・・・・お守り・神札の授与。籤取り。正月はお神酒の授与も行う。年末はず〜っと大掃除。

32記念日は祈祷の補佐。

33また場所によっては『神田』の管理も行う。

34そもそも神道は日本の宗教である以上、『稲作』を重視する宗教なのである。

35そのため新嘗祭や祈年祭などは稲作に関連した行事である。

36実際賽銭袋に明記されている文字は『初穂料』だし。

37次に神社で行われる祈祷の代表的なものを明記する。

38初詣、厄払い、七五三、家内安全、交通安全、社内安全、商売繁盛、社運隆晶、工事安全、方除、無病息災、安産祈願、合格祈願、成人祭。

39他にも地鎮祭、竣工祭、上棟祭などの神社で行わない祈願もある。

40巫女はその際に神職の補佐を行う。

41余談であるが殿の掃除は意外と大変である。

42とくに夏場は最悪である。

43何故なら『殺虫剤』が使えないから。

44最後に補則であるが、『男袴』には二種類ある。

45股下からすぐズボン状になっている『馬乗袴』と裾下から幾許か下までがズボン状になっている『襠有袴』の二種類である。

46もっとも『男袴』というように、大抵の巫女の場合は行灯袴を用いるのだが。

 

 

 

 極めて汚も滞無れば穢れとはあらじ

 内外の玉垣清淨と申す

           (一切成就祓)

 

 

 

巫女さんのローゼンソール化

 

 

 

1 さて最初は巫女さんの幻想である。

2 巫女さんの幻想は2つ。下着を穿かない事と処女である事だ。

3 まず幻想は打ち砕かねばならない。

4 結論から言おう。巫女さんの装束には下着がある!!

5 それは洋風の下着とは形状が違うが、そう、敢えて言うなら和風の下着!!

6 バイト巫女の場合は普通に下着とシャツを着た上で装束を着ている神社が多いが、本来巫女さんが着るべき下着は違うのだ!

7 そもそも日本の歴史に洋風な下着なんか無い。

8 あるとしたら褌とサラシくらいだ。

9 越中褌とか六尺褌とか色々種類があるがそんな事はどうでもいい。

10だいたい褌は男の下着なのだから。

11では女は?

12女性には『襦袢(じゅばん)』という下着があった。

13主に巫女さんは長襦袢ではなく半襦袢と裾除の二部式を使う事が多い。

13え? これは下着ではなく肌着?

14何を言う! 肌着とは下着の事だろうが!! 辞書を引きたまえ!!

15無論襦袢さえもポルトガルよりの文化には違いない。

16しかし! それを言うならブランコだって天ぷらだってポルトガル産じゃねえか!!

17そもそも襦袢は着物の下着として存在しているのだから日本の文化として問題はない!!

18次に、巫女さんは処女か? という問題である。

19これも結論から言おう。そんなわけあるかい!!

20『巫女さん=処女』という図式は敢えて言えば『寺の坊主=肉を食べない』と同じ事!!

21現代において肉を食わない、酒を飲まない坊主などよほどの名門でもない限り守られておらんわ!!

22坊主は肉を食う!! 酒を飲む!! 女とまぐわう!! 金を搾取する!!

23これは実は現代に限らず遥か数百年、下手すれば千年くらい前からそうだったのだ。

24昔の金貸しとはどんな連中か? それは酒屋、土倉、そして寺だ!!

25それと同じで巫女さんとは別に太古の昔より処女限定だったわけではない!!

26そもそも何故『処女』なのか? 古事記では神々が平然と子を次々に産んでいっているのにその必要性は何か?

27それは本地垂迹説が問題である。

28仏教の観念において女性とは不浄であり、穢れであり、清潔とは無縁の生物という考えが伝来した。

29だがそれは日本に仏教が伝来した時に初めて知られた事である。つまり、蘇我稲目が持ち込んだ際に初めて知った理念!

30巫女は神道であり、女性を汚らわしいものとみる考えは昔からあったわけではない!

31巫女だって人間!! 神職の者や事務員と姦合する事など大して珍しいことではない!!

32例えば病院でだって看護師や医者が同職や上司、患者とまぐわう事など珍しくはないだろうが!!

33巫女さんが神職や事務員と結婚する事はよく見受けられるように、また処女であったとしてそれをどうやって確認する?

34つまり、宗教的にも、現実的にも、巫女さんは処女である必要性がないのだ!!

35次に装束であるが、あれは快適性とは無縁である。

36一言で言ってしまえば『夏暑く、冬寒い』服なのだ。

37次にこれだけは言いたいのだが『巫女の仕事に退魔なんかない!!』

38巫女さんの仕事とは華やかなものでなど決してなく、というより地味。かつ重労働。

39アナログな掃除、受付、破魔矢やお守りの検品や納品、そして当たり前だが正月休が存在しない!! もっとも行事が無い日は暇なのだが。

40どことなく仕事的にコンビニを彷彿させる。

41神社とは閉鎖的な職場である。

42つまり、人間関係が劣悪な職業としても有名なのだ。

43神職の派閥、不倫、嫉妬、重労働、日にち制の年功序列、大量の習い事、授与所にはエアコンがない、夏場は蚊に刺されまくる。

44そう、現実は悲惨なのだ。

45祭事に際に悠久の舞やら鈴舞やら舞っているがその裏ではドロドロとした世界が展開されているのだ。

46極端な話、神社に巫女はいなくてもいいのだから。

47聖職者だからといっても所詮は人間。そこには確固たる欲望が存在し、それが現実に侵食される。だから幻想は破壊される。

48この世に清潔な職業はあっても清潔な人間はいない。

49ではここに1つ川柳を提示して最後の幻想を破壊する。

50聖職者 私服を着れば ただの人

51さて50項にわたり巫女さんの幻想を木っ端微塵にしてきたが、ではこれより幻想を作成する。

52間違った幻想を抱いたままではローゼンソールは起らない。

53だから最初に過去の幻想をぶち壊す必要があった。

54さあこれより人間の欲望の集大成。生贄を、人身御供を、一体の人形に塗りたくる。

55ではローゼンを順序的に考察する。

56まず年齢である。

57現実世界が20代までである以上、幻想世界ではそれ以下でなければならない。

58つまり、10代まで!

59次に髪に行ってみようか。

60現実世界において微妙にではあるが茶髪の巫女さんが増えてきた。

61では色調的にどのレベルまで許容できるか? である。

62幻想的には黒でなければならないが、色調的に厳密なる色調の領域の限界を選定する。

63これは個人的主観が強すぎるので、黒の限界色にしてみた。

64つまり、マルスブラックかブラックベリーが限界だと思う。エスプレッソブラックまでいくとダメ。ブラックアメジストは個人の主観に委ねる。

65そして長さである。

66基本的に巫女さんは『丈長』と呼ばれるもので髪を結うのだが、幻想的に考えて丈長は必要かどうかである。

67とは言ってもこれは個人的主観があるので個人の自由でいいだろう。

68では気を取り直して長さ。

69まずこれに個人的主観はいらない。

70なぜなら、大半の人類が幻想的に巫女さんの髪が長い事を承諾している事は周知の事実だからである!

71女性個人の似合い不似合いではなく、巫女さんという固有名詞としてならば長くなければならないからだ!!

72長さは古代様式と現代様式の間を取りたいと思う。

73古代様式、すなわち『地面をひきずる長さ』と『腰上の長さ』を平均する。

74つまり、腰下から尻くらいまでの長さ!!

75次に下着である。

76洋風の下着がご法度なのは当たり前であるから、襦袢を着るか否かに絞りたい。

77このご時世襦袢を着る巫女さんも減ってきている以上、やはり全面的に消滅させるべきだろうか?

78しかし半襦袢ならどうだろうか? やはりある程度の装飾あってこその装束だと思われる。

79長襦袢だと昔の遊女を彷彿させてしまうので半襦袢なら。

80やはり襦袢はあっていいだろう。ただし半襦袢に限るが。

81次は緋袴である。

82もう言うまでもない。行灯袴。以上。

83次は千早である。

84やはり素材は正絹だろうか。

85問題はそこではない。

86用は『無地』か『有紋』かの二者択一である。

87しかし幻想的な巫女さんに千早はいらない!!

88あれ? じゃあこの論考は無効だ。じゃあ個人の主観に委ねよう。

89装束では最後に草履について。

90とは言っても白花緒と赤花緒くらいしかないのだが。

91つまり、色調のバランス的に白か、赤かと言う事になる。

92足には既に足袋があり、白で基調されている。しかし装束は白と赤のコントラストであるからそれにそって考えれば赤花緒の方が妥当であると結論する。

93では次は装束ではなく巫女さんの内面について論考したい。

94巫女さんは日本の伝統的偶像である。

95ならば、日本の伝統的女性像でなければならない。

96それは何か?

97言うまでもない。

98大和撫子である。

99大和撫子というとどことなく俗物的ではあるが、この現代大和撫子など絶滅したと言っても過言ではないので問題はないと思われる。

100では最後は、大和撫子について論考する。

101大和撫子とは、文字通り『撫子のような女性』である。

102では撫子とはどんな花か?

103広辞苑・・・・・・ナデシコ科の一群の草本の総称。自生種のほか園芸品種も多い。また、その1種の多年草。秋の七草の一。日当たりの良い草地・川原などに自生。高さ数十cm。葉は線形。8〜9月頃。淡紅色の花を開く。花弁は5枚で上端が深く細裂。種子は黒色で小さく、利尿に有効。カワラナデシコ。ヤマトナデシコ。とこなつ。

104大辞林・・・・・・ナデシコ科の多年草。山野、特に川原に多く自生。茎の高さは30〜50p。葉は広線形。夏から秋にかけ、茎の上部が分枝して径3pほどの淡紅色の花をつける。花弁は縁が細裂する。秋の七草の一。カワラナデシコ、ヤマトナデシコ。古称トコナツ。

105こんな花である。

106では今度は大和撫子についてであるが、実はコレ広辞苑にも大辞林にも大した事は明記されていないのだ。

107そこで大和撫子を論考する。

108まず大半の人間が勘違いしている事だが、別に大和撫子は『従順な女性』ではない。

109広辞苑には『日本女性の美称』としか明記されていないが、大辞林には辛うじて『日本女性の清楚な美しさを称えて言う語』とある。

110つまり清楚は従順とは別のものである。ということだ。

111そもそも撫子の花は川原などの自然の猛威の中で自生する多年草である。

112つまり、強さが必要なのだ。

113清楚でありながら強く。それが大和撫子である。

114では清楚とは何か?

115文字通り飾り気が無く清らかな性質である。

116美しき質素。

117かつて室町幕府の8代将軍足利義政は派手な人工美ではなく、清楚な天然美を求めた芸術的見地の高い将軍として非常に有名である。(同時に政治的能力が皆無な将軍としても非常に有名である)

118その証拠が銀閣だ。正確には『観音殿』というのだが、自然の美をどこまでも追求した芸術として非常に有名である。

119かつて松尾芭蕉は松島のあまりの美しさに感涙したという。

120自然なる美しさ。つまり素の美しさ、内包的、存在的な美しさを大和撫子は要求されるのである。

121そこにあるだけで感動する美しさ。存在する事そのものが美。そんな女性である。

122しかし自然は荒れ狂う猛威に耐えるだけの強靭なる力も必要である。

123故に大和撫子は柳の如く従順ではあっても決して芯は折れることの無い、己の価値観、信念、美学を決して屈する事の無い強さ。己という自我を守りきる強靭さが必要なのである。

124自分という確固たる存在を尊び、己の存在を美とし、かつ清楚である事。

125それは撫子の如く。

 

 

 

 吐普加身依身多女

 寒言神尊利根陀見

 波羅伊玉意喜餘目出玉

         (三種太祓)





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