立ち昇り、ゆらゆら揺れる、陽炎か。
 そんな世界にて訪れる炎々の定理。そして空間。
 世界は拉げ、世界は歪み、世界は霞む。
 暑さの領域は世界を捻じ曲げた。
 そんなぐにゃぐにゃの世界にて、美琳は幾人の生徒と共に授業を受けていた。
 世界は朧になる。
 私立大安高校は偏差値60となかなかの進学校で塾に行く時間と金を軽減するべく夏季、冬季、春季講習を無償で行っていた。
 美琳と他の3人とは学年が1つ違うためこの場には美琳しかいない。
 もっとも3人は夏期講習を行う気など毛頭なく、家で遊んでいるが。
 世界は変貌する。
「まったく・・・」
 現時点でエアコンがどういうわけか故障しており世界は陽炎と化していた。
 美琳も他の生徒も、教師さえもこの狂った暑さに耐えられていない。
 教室には温度計がないため気温が判別できないが、おそらく35℃は余裕でいっているに違いない。
 世界は狂っている。
 そんな暑さにへこたれる事無く、美琳は懸命に授業を受けていた。
 教師は汗だくになりながら授業を進めてゆく。
「じゃあこの問題を解ける者」
「はい」
 挙手したのは美琳だけだった。
 他のものは皆狂乱の世界に敗北し、死屍累々とグロッキーになっていた。



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