学校で、会ってはいけない人と会った。

 他切みや。

 彼女は天地県にある私立首都大学付属澪標高等学校の生徒・・・だった。

 悪魔のような存在が、突如転校してきてから、彼女の人生は狂い出した。

 何が悪魔かというと、実社会に問題を起こさないから悪魔なのだ。

 訴える事が出来ず、ただ、堕ちてゆくのみ。

「あはは」

 悪魔はいつもそうやって笑う。

 みやはその笑いのたびに、怯えるのだった。

 

 みやは、悪魔に逆らう事も出来ず、悪魔の城を目指していた。

 先程から悪魔悪魔と抽象する事が、どれだけ危険な事かまだわかっていないのだ。

 なぜなら、その悪魔は人の心が読めるから。

「あはは」

 みやが公園にある公衆トイレに入ると、そこに入り口があった。

 悪魔の城はここから入る。

 

「み、蜜柑様。ただいま帰りました」

 みやは怯えながらそう言った。

 悪魔のような存在――――夏御蜜柑は不安定な牢獄にて玉座に座り、下卑た笑みを浮かべながら待ち構えていた。

 恐い。

「おそいね」

「も、申し訳ありません・・・・・・」

 これでも急いで向かったつもりだ。

 しかし夏御蜜柑はそれを知っていながらそう言ったのだ。

 だから、言い訳ができない。

「次遅かったら改竄してあげないよ」

 その笑み、なんと恐ろしいことか。

「ひっ・・・・・・蜜柑様、それだけは、それだけはお許しを・・・」

 改竄。

 これがないとみやの一生は文字通り崩壊する。

 夏御蜜柑はどうやら世界を改竄する事ができるらしく、最悪みやが死んでも世界に影響を与えない。 

 だからこそ、みやはどんな事をされても実社会に影響を与えず、かろうじて一生を送る事ができたのだ。

「ま、今日は許してあげる」

「あ、ありがとうございます」

「今日は忙しいから1回で終わりにしてあげる」

「ありがとうございます、蜜柑様」

 そう言って、夏御蜜柑が指をパチンと鳴らすと、そこは電車の中だった。

「み、蜜柑様・・・ま、まさかここで?」

 みやは困惑する。

 当然である。

「そうだよ。さ、しゃぶって。あたしがいやならどの子でもいいんだよ」

 夏御蜜柑はそう冷たく言い放った。

 みやは困惑する。

 痺れを切らしたのか、夏御蜜柑がとんでもない事を口走った。

「あたしは忙しいんだよ。嫌ならこいつら全員にやられちゃえ」

「ひっ、すみません。是非、是非蜜柑様のを・・・」

「あ、そ」

 夏御蜜柑はそう言うと、突如として股間から性器が具現した。

 電車内で曝け出される性器。

 誰もが唖然した。

 みやはその観衆の中、跪く。

 自分に言い聞かせていた。

(大丈夫、大丈夫、どれだけ見られても、後でなかったことにしてくれるんだから)

 これが、唯一の救済なのだ。

 だが、それを知っているから夏御蜜柑は笑う。

「どうだろうね、みやの奉仕が足りないと改竄なんかしてあげないかもよ〜」

 邪悪。

「そ、そんな・・・」

「それが嫌なら早くしたら?」

「は、はい」

 みやは恐る恐る夏御蜜柑のイチモツに手を翳す。

 赤く脈打っていた。

「ん・・・んむ・・・ぷはっ」

 みやは少しずつ舌を這わせてゆく。

 電車の中での観衆は、地獄を思わせた。

 誰かがみやに触れようと手を翳す。

「ひっ!」

 しかしその手はバリアーによって弾かれた。

「よかったね、でも早くしないとバリアー消しちゃうよ」

 夏御蜜柑の邪悪な福音によって、みやは即座に口に咥える。

 熱かった。

「んぐ・・・むん・・・」

「奉仕が足らないねえ。舌を使いな舌をね」

「ふぁい・・・」

 夏御蜜柑の一言一句は決して聞き逃す事が出来ない。

 自分の人生の全ては夏御蜜柑が握っているのだから。

 みやは舌を絡ませる。

 垂液が口の中に広がり、溢れ、滴り落ちる。

 熱くて硬い夏御蜜柑のイチモツを口の中で絡ませる。

 その動作に一切の手抜きはなく、熱血的に言うのなら、一生懸命に奉仕した。

「亀頭が弱いなあ」

 だが、夏御蜜柑は文句を言う。

 みやはびくっと一瞬怯え、即座に懸命に亀頭を吸った。

「ん・・・」

 それに満足したのかしてないのか、夏御蜜柑は下衆な表情を浮かべ、みやの髪の毛を鷲掴みする。

「ふぁ?」

 みやは幾許か苦悶する。

 そのまま夏御蜜柑がみやの頭を前後に揺さぶった。

「んぐうぅ、むぐ〜!」

「あはは、みんな笑ってるよ」

 夏御蜜柑はそう言い、笑った。

 実際観衆は全員みやを見ていた。

 その表情には数多くの色があるが、侮蔑という共通点があり、それがみやのプライドをズタズタにする。

 しかしみやは口に咥えたままであり、悲鳴は理解されない。

「むううう〜!!」

 じゅぶっじゅぶっ、と卑猥な音を立てながらみやは涙した。

「そろそろバリアー解こうか?」

「ううぅぅ!!」

 みやは咥えたまま、首を横に振り、断固拒否した。

 今ここでバリアーを解かれたらみやの人生はどうなるのだろう?

 言うまでもない。どれだけ改竄してもみやの記憶に残る限り、みやは廃人となるだろう。

 冗談じゃなかった。

「いやだよね」

「うう!!」

 みやは懸命に首を縦に振る。

 夏御蜜柑は未だみやの頭から手を離していない。

「だったら感謝の言葉くらい言わないと」

「んいむほうほはいむふ、むはんはむ」

 みやは涙を拭くこともできず、その言葉を延々とリピートした。

 刹那、夏御蜜柑は絶頂した。 




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