花は何で存在する?
花に意味はない。
なら、花は存在するはずがない。
それとも花は虫共にとって都合がいいから存在するのか?
それこそ花の意味がない。
まるで奴隷だ。
花は奴隷であることを望んでいるのだろうか?
しかし、花に意思はない。
なら、花は奴隷である事を望まない。
しかし、花は救済も望まない。
もはや、花に価値はない。
誰も知らない事だけど、
花は誰にも救われない。
花はゆらりと風に揺れる。
ガタンゴトン ガタンゴトン
揺れ動く電車の中で屋敷和信は一人想いにふけっていた。
電車はレールという絶対にして永遠の境界線の上を文字通り機械的に進みながら人々の運命を無意識に運んで行く。
それは和信も同じだった。
一応都会の進学校に進んだものの大学受験に失敗し、実家に帰郷するところなのだ。
高信はストレートで合格する自信・・・いや、確信があったからこそたいした滑り止めを受けず結果、全敗した。
高校入学の時、和信は両親にたいして一つ約束をしていた。
『寮生活する事になる高校に行くかわりに、もし大学受験に失敗したらまた都会の大学を受けるにしても実家に戻って浪人生活を送ること』
和信はそれに承諾した。
そして大学に全て落ちた。
その時、和信は事業に失敗し、財産を全て失い、そのせいで妻も子も失った中年男のそれと同じだな。と思った。
和信は電車に揺られながら廃人のように放心する自分を自嘲していた。
「ははは、ははははははは」
電車はグラグラ揺れていた。
和信もグラグラ揺れていた。
しかしどれだけグラグラ揺れていても和信は救われない。
和信は白痴のように笑った。
「あはははははは」
グラグラグラグラ。
グラグラグラグラ。
「あはははははは」
グラグラグラグラ。
グラグラグラグラ。
※この作品は差別用語・放送禁止用語を多分に含んでいますがこれは全て作中の表現であり個人・団体を誹謗するものでは決してありません。